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点群データ vs 写真 : 配筋検査システムの比較

作成者: Sales team|2024/06/16 23:51:40

概要

デジタルデータを活用した配筋検査(鉄筋出来形計測)の効率化

鉄筋コンクリート構造物の配筋検査においては、受発注者に多くの労力がかかるため、効率化が求められています。土木分野では「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)令和5年7月」1、建築分野では「官庁営繕事業の建設現場におけるデジタルデータを活用した配筋検査試行要領 令和5年3月」2がそれぞれ作成され、デジタルデータを活用した効率化の取り組みが始まっています。
配筋は、対象構造物によって、形状の複雑度などが変わってくるため、様々な対象構造物の配筋検査をできる必要があります。外部環境も現場によって変わるため、外部環境による精度への影響なども考慮する必要があります。

        

配筋検査システムの導入のポイント

デジタルデータを活用した配筋検査システムには、大きく分けて点群データを活用するシステム写真データを活用するシステム2種類があります。
当社にお問合せ頂くお客様が導入されるとき、よくいただくご質問内容は以下の2つです。

  • 現場施工性(撮影デバイス、撮影範囲、天候や足場など現場状況の影響の有無)
  • 汎用性(測定できる工種)

本記事では、それぞれの特徴について、紹介します。

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目次

 

配筋検査システム比較表

以下の表は、点群データを活用するシステムと写真データを活用するシステムを比較したものです。

配筋検査システム比較表

       点群(Modely)          写真
現場施工性(使いやすさ)
撮影デバイス iPad Pro、iPhone Pro
または、地上型レーザースキャナー
専用のデバイスが必要な場合がある
撮影範囲 非常に広い 狭い
天候の影響 ほとんど影響を受けない 受ける可能性がある
足場の影響 足場があっても、撮影可能 足場があると撮影が難しい
汎用性(測定できる工種)
鉄筋籠の検査 可能 対応できないことがある
ダブル配筋や過密鉄筋の検査 可能 対応できないことがある
かぶり厚の検査 可能 測定できないことがある
その他
写真管理 写真管理不要
ただし、写真管理を求められる場合、二重管理となる
写真管理不要
従来通りの写真管理も可能
3Dモデルの出力 可能 不可

 

撮影デバイス

  • 写真データを活用するシステムでは、専用のデバイスが必要なことがあります。
  • 点群データを活用するシステムでは、LiDAR付のiPad ProやiPhone Proを用いることで、点群の撮影が可能です。 また、地上型レーザースキャナー(TLS)を用いた点群も取り込むことが可能です。
    • ただし、基本的にiPad Proの利用を推奨しています。
    • 地上型レーザースキャナーの場合は、iPad Proなどのように撮影者が動きながら鉄筋を撮影できないため、撮影できない部分が生じる可能性があることと、鉄筋以外の周囲の物体の点群も撮影してしまい容量が大きくなってしまう可能性があります。
    • 詳しくは、『点群取得アプリ PIX4DcatchとScaniverse比較』をご覧ください。

撮影範囲

  • 写真データを活用するシステムでは、検査可能範囲が専用デバイスにより限られることがあります。
  • 点群データを活用するシステムでは、広範囲の検査が可能です。

天候の影響

  • 写真データを活用するシステムの場合は、照度が影響する場合があります。明るすぎる場合、反射して白くボケてしまいます。暗い場合も、鉄筋を検出しにくい可能性があります。
  • 点群データを活用するシステムの場合、照度の影響はあまり大きくありません。弊社Modelyの場合は、中部地方整備局主催 R4年度ニーズシーズマッチングで夜間工事での適用前提に開発されています。
    • 「労働安全衛生規則 (照度)第六百四条9」5に記載してある「普通の作業に必要な照度(150 ルクス以上)」を 十分満たしています。

https://www.cbr.mlit.go.jp/architecture/netis/matching/siryou/230329_01.pdfより引用

足場の影響

  • 写真データを活用するシステムの場合、足場が写り込むと解析が不可能な場合があります。そのため、足場がない箇所で撮影や足場を外して撮影が必要になる場合があります。
  • 点群データを活用するシステムの場合、足場が写り込んでいても問題なく検査が可能です。


ダブル配筋や過密鉄筋の検査

  • 写真データを活用するシステムでは、ダブル配筋や過密鉄筋など3D構造が複雑なものは検査が難しい場合があります。
  •  点群データを活用するシステムでは、ダブル配筋や過密鉄筋の検査も可能です。

橋梁上部工-床版工

鉄筋籠(フープ筋)の検査

  • 写真データを活用するシステムでは、鉄筋籠のような3D構造があるものは検査が難しい場合があります。
  • 点群データを活用するシステムでは、主鉄筋、環状フープ筋ともに鉄筋間隔の検査が可能です。

 

かぶり厚の検査

  • 写真データを活用するシステムでは、かぶり厚の検査は難しい場合があります。
  • 点群データを活用するシステムでは、かぶり厚の検査も可能です。

詳しくは、以下に記載がありますのでご覧ください。

【Modely機能紹介】かぶり厚の計測機能

写真管理

「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)令和5年7月」1によれば、基本的には配筋検査システムを使用した場合は、写真管理は不要とされています。以下、「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)令和5年7月」1よりの引用です。

3.4 出来形管理方法
(1)計測値の評価方法
計測データと、設計値を比較し、すべてのデータが「土木工事施工管理基準及び規格値案)」
に定める規格値(表-1、2参照)を満足することを確認する。
(2)資料作成
受注者は、作成した出来形管理資料を監督職員に提出すること。出来形管理資料とは、出来形
管理図表のみである。測定結果総括表、測定結果一覧表、出来形管理図(工程能力図)、度数表
(ヒストグラム)については、出来形管理図表にて代用可能なため不要とする。また、出来形管
理に必要な項目が記載されていれば、出来形管理写真も兼ねた計測システムからの出力結果を提
出することも可能である。

ただし、自治体等によって対応が異なる場合がございますので、監督官との調整が必要となります。

3Dモデルの出力

  • 点群データを活用するシステムの場合、3Dモデルの出力が可能です。
    3D配筋検査システムModelyは、以下のような世界観を目指します。

まとめ

  • デジタルデータを活用した配筋検査を行うの主な方法として、点群データを活用するシステムと写真データを活用するシステムの比較を紹介しました。
  • 点群データを活用するシステム(Modely)では、以下のような特徴があります。
    • 専用の撮影デバイスが不要
    • 撮影可能範囲が広範囲
    • 天候の影響を受けにくい
    • ダブル配筋や過密鉄筋、鉄筋籠、かぶり厚の検査が可能
    • 写真管理の工数が削減できる可能性がある
    • 3Dモデルの出力が可能
  • 上記以外の機能として、以下の項目についても測定が可能です。
    • 重ね接手長
    • スペーサー個数
  • 点群データを活用する配筋検査システムは、現在弊社のModely(NETIS登録番号 CB-230008-A)4のみとなっていますので、ご興味ある方は以下よりお問い合わせください。

3D配筋検査システムModely

3D配筋検査システムModelyについて、詳しく知りたい方は以下をご参照ください。

 

お問い合わせ

 

参考文献

  1. デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)令和5年7月,
    https://www.mlit.go.jp/tec/content/001619475.pdf
  2. 官庁営繕事業の建設現場におけるデジタルデータを活用した配筋検査試行要領 令和5年3月,
    https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001594736.pdf
  3. Modely: https://www.datalabs.jp/modely
  4. NETIS登録番号 CB-230008-A: https://www.netis.mlit.go.jp/netis/pubsearch/details?regNo=CB-230008
  5. 労働安全衛生規則 (照度)第六百四条:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347M50002000032