デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)に基づく施工計画書の書き方
- 配筋検査システムを使用する際には、『発注者との事前協議』と『施工計画書の準備』が必要です。
- 本記事では、3D配筋検査システムModely(以下:Modely)を用いた場合の鉄筋出来形計測における協議内容と施工計画書について整理しています。
- Modelyは、「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)1」に準拠したシステムです。
- 本記事から、Modelyを利用する場合に事前協議で必要となる書類のテンプレート等をダウンロードしていただけます。
目次
デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測について
- 国土交通省大臣官房技術調査課 / 国土技術政策総合研究所は、土木工事における品質管理の高度化や、現場の省力化・省人化といった効果を期待し「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測」を推進しています。
- 令和5年度以降、本取り組みは社会実装フェーズへ移行しており、令和5年7月には「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)」(以下:実施要領(案))が発出されました。
- 2024年4月に発表されたi-Construction 2.0では、「2024年度の主な国土交通省の取組」にも位置付けられており、直轄工事における特記仕様書に「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測」が記載されるケースも徐々に増えてきています。
- それに伴い、従来の配筋検査方法との二重管理ではなく、デジタルデータを活用した配筋検査のみで運用されている事例が増えてきています。
導入事例(株式会社植木組)
発注者との立会準備から納品までスムーズに実施!誰でも簡単に使えるModelyで生産性の向上を実現!
導入事例(古郡建設株式会社)
3D配筋検査システムModelyによる配筋検査の省力化と将来的な維持管理への期待
発注者と事前協議が必要な事項について
配筋検査システム(Modelyを含む)を直轄工事で利用するためには、実施要領(案)に基づき発注者と事前協議を行い、承諾を得る必要があります。- 事前協議が必要な事項は以下です。
- 適用する範囲(対象工種、部位等)
- 対象とする検査項目
- 規格値・出来形管理写真の取り扱い
- 使用機器・ソフトウェアの概要(計測性能および精度を含む)
- 現場における精度確認方法
1.適用する範囲(適用工種)
- 適用工種としてコンクリート構造物(場所打ち)の鉄筋組み立てを対象とされています。 ただし、取得困難な場合などについては、従来手法を用いることができます
- 以下、実施要領(案)1.2(2)の引用です。
実施要領(案) 1.2 適用範囲(2) 適用工種
適用工種としてコンクリート構造物(場所打ち)の鉄筋組み立てを対象とする。適用工種は、現場打ちコンクリート構造物全般であるが、工種や部位、配筋量、撮影環境等によっては、直接デジタルカメラ等で撮影することが困難な場合や、計測精度が低下する場合もある。このため、事前に監督職員と協議し、計測対象に応じてスケール等の従来方法を用いることも検討しておく必要がある。
- Modelyで対応可能な具体的な適用工種は以下です。
- 擁壁工
- スラブ
- ボックスカルバート工
- 橋梁下部工(場所打ち杭の鉄筋籠含む)
- 橋梁上部工(床版工、壁高欄含む)
- ケーソン
- 慎重に導入を進めたい方は、シンプルな格子状鉄筋のみで使用するなど、あえて適用工種を限定するような場合もあります。
2.対象とする検査項目
- 計測対象は鉄筋本数、鉄筋径、鉄筋間隔とされています。ただし、鉄筋径については正確に判定することは難しいことが知られており、事前に監督職員と協議した上で、鉄筋径のみをスケール等の従来方法で計測することも可能である。
- 以下、実施要領(案)の引用です。
- 実施要領(案) 1.2 適用範囲(2)適用工種
本要領では、適用工種としてコンクリート構造物(場所打ち)の鉄筋組み立てを対象とする。 適用工種は、現場打ちコンクリート構造物全般であるが、工種や部位、配筋量、撮影環境等によっては、直接デジタルカメラ等で撮影することが困難な場合や、計測精度が低下する場合もある。このため、事前に監督職員と協議し、計測対象に応じてスケール等の従来方法を用いることも検討しておく必要がある。 - 実施要領(案) 3.3 出来形計測対象と計測手順
(1)本要領に基づく画像計測の対象は、鉄筋本数、鉄筋径、鉄筋間隔とする。鉄筋かぶり、重ね継手長、定着長等については、使用する計測機器に応じて、精度検証を行いながら、計測することは妨げない。
- 実施要領(案) 1.2 適用範囲(2)適用工種
- Modelyで対象とする検査項目は以下です。
- 自動検出:鉄筋本数、および鉄筋間隔
- 手動指定:鉄筋径
- 鉄筋径については、以下の実施要領(案)1.2(2)に従い、従来手法で鉄筋径を確認の上、システム上で指定する運用をとります。
- 鉄筋径については、以下の実施要領(案)1.2(2)に従い、従来手法で鉄筋径を確認の上、システム上で指定する運用をとります。
- 鉄筋かぶり、重ね継手長、定着長等についても、使用する計測機器に応じて精度確認を行いながら、計測することができます。Modelyでは、重ね継手長と鉄筋かぶり、スペーサー個数の自動計測が可能です。精度確認方法について協議の上、計測対象に加えることが可能です。
- 実施要領(案) 3.3 出来形計測対象と計測手順
本要領に基づく画像計測の対象は、鉄筋本数、鉄筋径、鉄筋間隔とする。鉄筋かぶり、重ね継手長、定着長等については、使用する計測機器に応じて、精度検証を行いながら、計測することは妨げない。
- 実施要領(案) 3.3 出来形計測対象と計測手順
3.規格値・出来形管理写真の取り扱い
- 実施要領(案) 3.4 出来形管理方法において、出来形管理資料としては出来形管理図表のみと定められています。
ただし、各監督職員の判断で、現場ごとに異なる運用となります。
実施要領(案)3.4 出来形管理方法 (2)資料作成
受注者は、作成した出来形管理資料を監督職員に提出すること。出来形管理資料とは、出来形 管理図表のみである。測定結果総括表、測定結果一覧表、出来形管理図(工程能力図)、度数表 (ヒストグラム)については、出来形管理図表にて代用可能なため不要とする。 - 「写真管理基準(案)」に基づき実施することを基本としますが、Modelyで作成する3次元データ、帳票、電子小黒板等で従来の出来形写真を代替している活用事例もございます。
- ご参考:写真管理に関するModely導入事例
導入事例(佐々木建設株式会社)
3D配筋検査システムModelyを活用した遠隔臨場による鉄筋出来形計測の実施!写真枚数を1/5に削減、作業時間1/4以上の生産性向上を実現!
導入事例(福留開発株式会社)
配筋検査システムのおすすめを聞かれたら間違いなくModelyを推す!他のツールでは難しかった省力化を実現!
導入事例(株式会社横河ブリッジ)
床版工で60%以上の省力化を実現!10点満点の配筋検査システム!
4.使用機器・ソフトウェアの概要(計測性能および精度を含む)
- 実施要領(案)別添ー1「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測技術の概要」のテンプレートに概要をまとめてあります。
- テンプレートをダウンロードしたい方は、こちらのフォームから申請ください。
5.現場における精度確認方法
-
実施要領(案)2.2 計測性能及び精度検証 において、カメラキャリブレーションと現地での精度検証が求められています。また、それらを事前に施工計画書に記載し、提出する必要があります。
-
精度確認の方法は、各監督職員の判断で、現場ごとに異なる運用となります。
-
Modelyは、画像データではなく点群データを用いて計測を行うため、カメラキャリブレーションは不要です。
-
例として、よくある運用を記載します。
- 対象現場の一部、もしくは配筋模型を精度確認に利用します。
- 精度確認の頻度は、現場毎に1回とします。
- 以下のような方法で、点群計測ソフトの精度確認を行います。
- 点群計測ソフトで鉄筋を計測し、生成した点群データをModelyに取り込みます。
- Modelyデータ上で、2点間の座標距離を計測します。
- 実物の同じ個所をテープロットで計測し、両計測結果の差が±0.3Φ以内に収まっていることを確認します。
- 以下のような方法で、Modelyの精度確認を行います。
- テープロッドにより鉄筋間隔(10ピッチ程度)を計測し、平均値を算出します。
- Modelyデータ上で、同じ個所の鉄筋モデルを生成し、鉄筋間隔の平均値を算出します。
- 両計測結果の差が、±0.3Φ以内に収まっていることを確認します。
おまけ:立会検査と遠隔臨場の実施について
Modelyを用いた検査の実施方法について、発注者と事前に協議が必要となります。検査方法は事務所や発注者によって大きく異なるため、十分な協議が必要です。 以下は実際に検査を実施した事例です。
〇遠隔臨場を用いた場合
- Modelyの画面のみを遠隔臨場で検査
事前にModelyで帳票を作成しておきます。当日は、WEB会議システムの画面共有機能でModelyの画面を共有しながら、帳票、点群、およびモデルを発注者に確認していただくことで検査を受けます。 または、Modelyの閲覧者招待機能を用いて、発注者にもviewer(閲覧権限のみを持った無料ユーザー)としてModelyにログインいただき、遠隔臨場で検査を受けることも可能です。 - 点群撮影の状況、並びにModelyの画面を遠隔臨場で検査
点群の信憑性についても確認したい場合は、点群の撮影状況、および点群を撮影しているiPad Pro等の画面を遠隔臨場で繋ぎ、発注者に確認していただきます。その後、モデル化、帳票化する時間を空けて、再度遠隔臨場にて結果を確認していただきます。
〇立会検査で用いる場合
- 事前にModelyで作成した帳票を現地と照らし合わせながら、検査
事前にModelyで帳票まで作成しておき、現地で発注者立会の下、該当箇所と照らし合わせながら、検査を受けます。 - 現地で点群の測定から帳票化まで一連のプロセス、および結果を見せながら検査
まとめ
- 3D配筋検査システムModelyは、「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)1」に準拠したシステムです。
- Modelyを直轄工事で利用するためには、発注者との事前協議が必要です。
- 事前協議では、以下の点を協議します。
- 適用する範囲(対象工種、部位等)
- 対象とする検査項目
- 規格値・出来形管理写真の取り扱い
- 使用機器・ソフトウェアの概要(計測性能および精度を含む)
- 現場における精度確認方法
- 各協議に必要な情報について、テンプレートをダウンロードしていただけます
資料請求
- 「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)別添ー1デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測技術の概要 」のテンプレートのダウンロードはこちら
- 「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)参考資料ー1カメラキャリブレーション及び精度確認試験結果報告書」のテンプレートのダウンロードはこちら
- 「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施報告書」のテンプレートのダウンロードはこちら
- Modelyユーザーの導入事例はこちら
- 「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)」の詳細解説はこちら
※上記資料については、Modelyを導入検討の方を対象としております。恐れ入りますが、同業他社など、対象外の方については提供をお断りする場合がございますので、ご了承のほどお願いいたします。
3D配筋検査システムModelyについて、詳しく知りたい方は以下をご参照ください。
お問い合わせ
参考文献
- デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)令和5年7月,
https://www.mlit.go.jp/tec/content/001619475.pdf