1963年(昭和38年)創立以来、公共事業における土木工事を主体に、信頼と実績を積み重ねてきた東海建設株式会社。企業理念として掲げている「共生と創造」に基づき地域に根ざした企業として、努力・研鑽を重ねている同社に、3Dインフラ補修検測システムHatsulyの活用方法をお伺いしました。
左から
江藤(DataLabs株式会社)
ヴァン様(東海建設株式会社)
中里様(東海建設株式会社)
滝川様(東海建設株式会社)
山﨑様(東海建設株式会社)
横川様(株式会社岩崎)
現場支援室がDXの取り組みを推進!パートナーである株式会社岩崎から最新情報を取得!
ーまずはじめに御社がどのような会社か教えてください
中里さん:弊社は土木工事から建築(一般住宅含む)工事まで、オールマイティな事業活動ができ、顧客満足向上のため継続して、絶えず創造(DX等の取り組み)し、確かな技術でベストを尽くす会社です。また土木工事においては、北海道開発局や北海道建設部の道路改良・橋梁新設工事から橋梁補修工事、河川、農業、海岸工事など様々な公共工事を手掛けております。
ーDXの取り組みについてはいつ頃から力を入れ始めたのでしょうか
中里さん:令和元年ごろに現場支援室を新しく立ち上げて、私が最初に着任いたしました。3年ほど前からレーザースキャナーを導入し、DX、ICT、BIM/CIM関係の取り組みを進めております。
現場支援室は、人材不足、残業の問題を少しでも解決したいと考えたことがきっかけで立ち上げることになりました。
ーDXの取り組みについてはいつ頃から力を入れ始めたのでしょうか
中里さん:やはりBIM/CIMでしょうか。最近ではドローンのレーザースキャナーの購入もしました。
ー本日は岩崎の横川さんにも同席いただいておりますが、現場支援室との関わり方を教えていただけますでしょうか
中里さん:情報を色々教えていただいてるのでありがたいと思っています。ハンディスキャナを買うとしても、様々な種類がある中で、使い易いもの・より良いものをご紹介いただいています。
岩崎とは古くからお付き合いがありますが、担当の横川さんとは3年前のレーザースキャナーの購入の時くらいからのお付き合いになりまして、そこから助けていただいています。
全て手計測だった従来手法と比較して圧倒的にインパクトのあり省力化につながる断面修復工における出来形管理の省力化を期待
ー今回Hatsulyについてどういったきっかけで知っていただいたのでしょうか
山﨑さん:最初は雑誌でHatsulyの記事を見させていただきました。弊社の公共工事においては3D出来形についてはコンクリート工作物が主だったのですが、橋梁補修工事も多く受注しているため何か新しい技術を適用できないかと考えていた時に、これはピンポイントでマッチしていると感じ、中里にすぐ相談しました
このタイミングで、横川さんがDataLabsの別プロダクトである3D配筋検査システムModelyの提案を弊社にしてくれていたこともあり、横川さんに相談しました。その後、岩崎フェアやCSPIの際にDataLabsから詳細の説明を受けたという流れになります。
また、タイミングよく床版補修の工事を受注できたこともあり、使ってみようということになりました。利用にあたっては、web会議で今回の現場の状況を踏まえた注意点の確認や、点群取得方法の検討を行いました。
ーHatsulyの導入を決定するうえで、従来の手法の課題感はどのようなものだったのでしょうか
山﨑さん:全て手計測ということです。例えば断面修復箇所が50箇所あるとすると、50箇所全てを測らないといけないというのが非常に手間でした。また、従来ではリボンロッド、水糸を使用してメジャーなどをあてて写真をとって管理していたのでその写真情報しか発注者には見せることが出来ませんでした。
ーちなみに今回の現場ではどの程度断面修復箇所があったのでしょうか
皆さん:無数ですね(笑)
山﨑さん:この現場は北海道開発局発注の橋梁補修の現場ですが、延長が1㎞ほどあるため、まさに無数といっていいほどの数がありました。
ーHatsulyをご利用いただいたことで従来の課題は解消されたでしょうか
山﨑さん:されたと思います。従来全て手計測で行っていたものを、点群をスキャンしてあとは机上で解析をすることで数量を算出できるということが非常に画期的だと思いました。3Dの画面で作成したモデルや計測箇所毎の計測値を発注者に見せることが出来るというのも、インパクトが大きく、視覚的にもわかりやすいため非常に良いと感じました。
また、従来の手計測ではヒューマンエラーによる計測ミスがあったのですが、それがゼロになり成果品の精度が向上したと思います。
ーその他Hatsulyをご利用いただいて良かった点について教えていただけますでしょうか
滝川さん:正確な数字が出るという点と、3~4名などで作業していたものを1名で行っていくことが出来るというのは良い点だと思います。
中里さん:あとはクラウド型のシステムであるというのも良い点ですね。立会検査の際には、iPadで現場で3D画面を見せる、書類検査の際にはPCを大型モニターに移して3D画面を見せるなど、インストール型のソフトでは出来ない使い方が出来ます。
山﨑さん:あとは直接的な効果ではないですが、Hatsulyを使用すると正確な数値が出るということもあり、今まで以上に施工をしっかりしようという意識を持つため、とても綺麗にはつりを行えたと思います(笑)
中里さん:総じてすごくいいシステムですよね。
山﨑さん:すごくいいよね。
発注者も驚く新規性、機能性の高いシステム
ー発注者の反応はいかがでしたでしょうか
山﨑さん:「橋梁補修でもここまでやってるんだ、すごいね」という反応をされていました。というのも、橋梁補修における3D出来形といって今まで何があったかというと、非常に適用できるものが少ない状況でした。
中里さん:新設工事では結構いろいろなものがありますが、橋梁補修においてはあまりないですね。
山﨑さん:なので、Hatsuly導入のきっかけでもお伝えしましたが、Hatsulyはピンポイントなシステムだと思いました。
発注者の勉強会などでも紹介する機会があり、非常に好評でした。
シンプルでわかりやすく使いやすいシステム
ー点群の取得はどのように行われたのでしょうか
中里さん:STONEX社のXVSを使用しました。Hatsulyで深さや体積を計測する上では点群のポイントを押さえる必要があり、ある程度綺麗に点群が撮れている必要があります。いくつかの点群取得の方法を試した中で、XVSにたどり着きました。
ヴァンさん:実際の点群取得においては、数十メートル程度の広さがある箇所でも4~5分で取得が出来ます。取得したデータをクラウド上にアップし処理を行いますが、この処理時間が30分~1時間といったところです。処理が終わった後にHatsulyに取り込む前に少しだけ処理を行いましたがこれも5分程度で済んだかと思います。
中里さん:XVSは非常にきれいに点群データを取得できることや、操作感もストレスがなかったことから、Hatsulyへのアップロードまでについてもスムーズでした。
ー点群アップロード後のHatsulyの操作性などはいかがでしたでしょうか
ヴァンさん:非常にシンプルな操作でわかりやすく、操作性は良いと感じました。すごく簡単なのが良いです。これは問題ではありませんでしたが、3D画面の操作でありがちですがソフト毎でクリック操作の種類が違うなとは思いました。
ーHatsulyでは帳票を作成、出力することが出来ますがこちらはご活用いただけましたでしょうか
ヴァンさん:帳票については出力後に現場への説明用や、納品用に編集をして使用しました。
山﨑さん:出来形管理図表としては北海道開発局の様式があるため、こちらへの打ち直しを行いました。このあたりの帳票フォーマットの作成作業がさらに簡略化できると、もう完璧なシステムと言えると思っているので、将来的に期待しております。
今までにない画期的なシステム!10点満点でおすすめできる!
ーHatsulyの評価は10点満点でいうといかがでしょうか
中里さん:今までにないシステム、他にないシステムだと思うので、10点満点だと思います。おすすめのできるシステムです。
ヴァンさん:ひとつ前の操作に戻るボタンの実装など、操作がさらに早くなるようなアップデートもあって、機能が拡充されていくのも良いと思います。
江藤:クラック延長測定や面積測定機能なども最近アップデートで実装されましたので、ご活用いただき、またご意見をいただければと思います。
山﨑さん:まだ試してはないですが、話を聞いただけでもスキャンさえすれば打検後のスケッチを省略できる可能性があるなと思いましたので、ぜひ活用を検討したいですね。スケッチをするのは非常に手間のかかる作業ですので。
クラック延長測定機能、面積測定機能のイメージ
「Hatsuly」は、スマホやタブレットで取得したはつり箇所の3次元データを利用して、1人ではつり深さやモルタル量を自動算出し、帳票を作成できるアプリです。3次元データや帳票を発注者と共有することができ、オンライン上で検収を完了できます。